世界の固体ロケットエンジン市場動向、年平均成長率4.6%で拡大継続2026-2032
固体ロケットエンジン市場規模:防衛需要と宇宙産業の拡大が支える世界市場
固体ロケットエンジンは、燃料と酸化剤を含む固体推進薬をケーシング内部に充填し、燃焼によって発生する高圧ガスをノズルから噴出して推力を得るロケットエンジンです。構造が比較的単純で、信頼性や即応性に優れることから、ミサイル、打上げロケットのブースター、宇宙推進システムなど幅広い分野で利用されています。近年は、防衛分野における高性能化需要に加え、小型衛星や衛星コンステレーションの拡大を背景とした宇宙輸送需要も市場を支える要因となっています。また、地政学的リスクを背景に、推進システムの安定供給や自国での開発・製造体制の確保も重要性を増しています。
■固体ロケットエンジンの定義と基本特性
固体ロケットエンジンは、固体推進薬を燃焼させて推力を発生させる推進システムです。液体ロケットエンジンと比較して構造がシンプルで、燃料系統などの複雑な機構を必要としないことから、保管性、信頼性、迅速な作動性が特徴となります。こうした特性から、防衛用途では各種ミサイルシステム、宇宙分野では打上げロケットのブースターなどに利用されています。用途ごとに推力、燃焼特性、重量、信頼性など異なる要求が存在するため、推進薬だけでなくケーシングやノズルを含めた総合的な設計が重要となります。
■固体ロケットエンジン市場規模予測
QYResearchによると、世界の固体ロケットエンジン市場は以下の規模で推移すると予測されています。
固体ロケットエンジン市場規模予測
2025年:9,254百万米ドル
2026年:9,636百万米ドル
2032年:12,610百万米ドル
2026~2032年CAGR:4.6%
防衛支出の増加に加え、通信・観測インフラを支える衛星打上げ需要が市場拡大を支える要因となっています。特にアジア太平洋地域や中東地域では、防衛能力の強化に関連する需要が市場動向に影響を与えています。
■防衛と宇宙の二つの需要が市場を形成
固体ロケットエンジン市場では、防衛と宇宙という異なる用途が並行して成長要因となっています。防衛分野では、ミサイルシステムの長射程化や高速化などに対応するため、推進システムの性能向上が求められています。一方、宇宙産業では小型衛星や衛星コンステレーションの増加によって打上げ需要が広がり、コスト効率を考慮した推進システムへの関心が高まっています。さらに、各国で供給網の安定性や自国開発能力の確保が重視されるようになり、推進システムのサプライチェーン構築も市場を左右する要素となっています。
■主要企業と市場集中度
世界の主要企業には、Rostec、CASC、L3Harris Technologies、Northrop Grumman、Nammo、Avio、Roxel、Anduril、IHI Corporation、Rafael Advanced Defense Systemsなどが含まれます。QYResearchの分析によると、2024年時点で世界トップ5企業が売上ベースで約83.0%の市場シェアを占めています。固体ロケットエンジンは高い技術力に加えて、厳格な品質管理、認証、機密情報管理、政府契約への対応などが求められるため、参入障壁が高い市場です。その結果、既存企業の技術・生産基盤が競争力を形成する重要な要素となっています。
■技術開発の方向性:高性能化と製造効率の両立
技術面では、より高効率な固体推進薬の開発に加え、デジタルシミュレーションやデジタル製造技術の活用が進められています。推進システムでは、性能だけでなく信頼性や製造時の品質安定性も重要であるため、設計から製造までの工程を高度化することが競争力につながります。また、軽量化や部材のモジュール化によって、システム全体の効率向上を図る方向も示されています。環境負荷の低減を意識した推進薬開発も、今後の技術テーマの一つとなっています。
■サプライチェーン再編と国産化の進展
近年は地政学的リスクの高まりを背景に、固体ロケットエンジンを含む推進システムの供給安定性が重視されています。各国では自国での開発・製造能力を確保する動きが進み、企業間の提携やサプライチェーンの再編も市場構造に影響を与えています。この傾向は単純な生産能力の拡大だけでなく、重要部材の安定調達、製造技術の蓄積、品質管理体制の確立など、バリューチェーン全体の強化につながっています。
■固体ロケットエンジン市場の今後:防衛・宇宙双方で用途が拡大
今後の固体ロケットエンジン市場では、防衛需要を基盤としながら、商業宇宙輸送、非常時の迅速な打上げシステム、惑星探査支援などへの応用拡大が注目されます。AIやデジタルシミュレーションを活用した設計高度化、軽量化、モジュール化、環境負荷を抑えた推進薬などの技術開発が、性能とコストの両面に影響すると考えられます。今後は、単純な推力性能だけでなく、信頼性・即応性・製造安定性・供給体制を含めた総合的な競争力が重要になります。防衛と宇宙産業という二つの需要領域が並行して拡大する中、固体ロケットエンジンは長期的な推進システム需要を支える重要な産業分野として位置づけられています。
本記事は、QY Researchが発行したレポート「固体ロケットエンジン―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」 を紹介しています。
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https://www.qyresearch.co.jp/reports/1873869/solid-rocket-engine
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